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白洲正子の信心に触れる

2010年11月11日 23:36

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                           宇宙山乾坤院の紅葉

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 時々訪れる宇宙山乾坤院に立ち寄ってみた。 お寺の秋の雰囲気を探してみようと思って・・・。

 その乾坤院で撮った写真と共に、昨日の記事で紹介した村山由佳の『アダルト・エデュケーション』に続いて本の紹介を。。。


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           『かたじけなさに涙こぼるる  祈り 白洲正子が見た日本信仰』 白洲信哉  


 この本・・・なんでだか『アダルト・エデュケーション』と同時進行で読んでいた。 夜寝る前に軽~く飲みながらまず、この『かたじけなさに涙こぼるる』をキリの良いところまで読む。。。 それから少し思考を転じて『アダルト・エデュケーション』を読む。。。 そうしているうちに・・・ほど良く眠気と酔いがないまぜになってきて・・・ぐっすりと眠れた。 ちょっとおかしな組み合わせだなと、自分でも面白くも感じていたが・・・なぜだか両書は私にとっては良い組み合わせで・・・同じ夜に読み終えた。


 さて・・・書名になっている 「かたじけなさに涙こぼるる」 というのは・・・この歌の一部だ。


                   何事の 

                   おはしますかは

                   知らねども

                   かたじけなさに

                   涙こぼるる



 西行が伊勢神宮を参拝した折に詠んだ歌だといわれており・・・信仰の対象として特定の宗教を持たなかったといわれる西行であっても天照大神をあえて 「何事」 としてはいるが・・・それでも神宮のありがたさには涙こぼれるほどだと感じたということらしい。 それは、こと伊勢神宮への信仰にとどまらず・・・厳かな場所や自然の風景にも思わず頭を垂れ、手を合せる日本人の信心をの真髄を言い得ているとも言われる。


 本書の著者の白洲信哉氏は、白洲正子さんの孫である。 白洲次郎・正子夫妻の次男兼正氏の息子で、兼正氏の妻(つまり信哉氏の母)は、小林秀雄氏の娘明子さんだ。 文章を記す血筋としては血統書的血筋だね。
 その信哉氏・・・生前の正子さんに付き従って様々な場所を訪れている。 正子さんの生誕百年を記念して、かつて正子さんと訪れた場所や正子さんの著書に従って正子さんの愛した場所を巡りながら・・・正子さんの信心へと迫っていくという書だ。
 写真もふんだんに載せられており・・・読んでいるうちに、私も正子さんが訪れた場所に身を置きたくなるような・・・そんな気にさせられる本だ。 以前読んだ正子さんの関連の本でも行きたく思っている場所がまだまだあるのに・・・ますます行きたい場所が増えてしまった(汗)


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 正子さんは西行を愛し・・・西行の足跡を追って旅して本も著している。 特定の信仰を持たなかった西行と正子さんの信心は重なる部分が多かったのではないかと想像する。
 それは・・・神も仏も認めてしまう。 神も仏もあるのだ。 そう決め付けるのではなく・・・八百万の神も様々な仏もあってよい。 というきわめてゆるやかな考え方なのだと思う。 そもそも拝む対象を決めているわけではなく・・・その場所に身を置いた時、その仏像と対峙したとき・・・おのずから信心は沸きあがってくるもであろうというといった感じではなかろうか・・・と。
 
 実際私も・・・毎年1月には伊勢神宮を参拝し・・・毎年のことながら内宮までの参道を歩いているうちに身を清められるような・・・そんな心持ちとなり、その感覚を毎年の最初の月に味わうことがとても大切な事のようにも思えるようになっている。
 また、時にはお会いした仏像の厳かさや表現し得ない美しさに・・・思わずその像の前で立ちすくむこともある。。。

 本書著者である信哉氏もそうだが・・・正子さんも日本古来の神と後に伝来してきた仏の共存を認めてもいるし、そういう穏やかで鷹揚な信心が日本の文化の根幹に根ざしていると考えていると・・・本書からも読み取れる。 そういう考え方に私もとても共感できる。 だからこそ、正子さんも信哉氏も明治政府の行った神仏分離・廃仏毀釈を、批判を通り越して憎むべき所業とも思っているであろうことも当然のように伝わってくる。

 自らの信仰心であるとか・・・自らが住まう日本という国についての考え方の深化を誘ってくれる一冊だと思う。

 本書で紹介されている・・・東京オリンピック開催中に西国三十三ヶ所の観音様の巡礼に出た正子さんの一文が痛快でもあり、実に深い。


 「出版社の依頼で、西国三十三ヶ所の観音巡礼を取材した。日本中がオリンピックで沸いているのを尻目に、旅に出るのがいい気持ちだった。(中略)近江の山の上から、黄金色の早稲の中を、新幹線が颯爽と走りすぎるのを見て、優越感にひたったものだ。お前さんはすぐ古くなるだろうが、こっちは数千年を生きた巡礼をしているんだ、ざまぁ見ろ」
                                  『西国三十三ヶ所の観音巡礼』 白洲正子著より 




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