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『風立ちぬ』を観た

2013年07月23日 22:31

                        (Please click this photograph)
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                         キャッチコピーは “生きねば。”
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 土曜日の夜、その日に封切られた 『風立ちぬ』 を観に行った。 9時も過ぎているのに、二人並んで観られる席は、すでに一ヶ所しかないような状態で、まだまだジブリ映画の人気のほどが伺えた。

 ポスターにも “堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて” と記されたように、ゼロ戦を設計した堀越二郎の人生に堀辰雄の小説 「風立ちぬ」 を融合させた映画だ。


   


 宮崎監督が正真正銘、はじめて大人に向けた映画を作ったって感じがした。 子供には、この映画のメッセージ、そして優しさ、強さ、切なさ、悲しさの中にもある喜びなど・・・わかろうはずもない。 それは仕方のないことだ。
 観た人の中には、ストーリーが散漫で起承転結が不明確だという感想もあるようだが、誤解を恐れずに言うならば・・・それは感性が鈍い人の言い分ではないかとさえ思われる。 全てを説明的に描くことが必ずしも良いのではない。 映画で描かれなかった部分は、観る者の感性で十分に補えるように作ってあるよ。 
 映画では描かれなかったが・・・自分の美しいところだけ見てもらいたかった(すなわち、記憶にとどめて欲しくて)二郎の元を去った菜穂子を二郎が放っておくはずがないことくらいは・・・誰でも容易に想像できるじゃないか。 だが、それからの二人の姿を映画で見せられるのは・・・あまりに。。。 と、私は思う。 だから、この映画は、それなりの感性を有した大人を対象に作られたのだ!と、私は断言できる。


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 また、プロの声優でもない 『新世紀エヴァンゲリオン』 の監督である庵野秀明を主人公二郎の声に抜擢したことも賛否があるようだ。 私は・・・とても良かったと思う。 実際の堀越二郎さんはどうであったか知らないが・・・この映画の二郎は、何歳になっても “空に憧れて~” な、夢見る夢夫さん的なところがあり、ある意味浮世離れしているのだ。 初対面ですでに 「愛した」 女性の名も知らぬまま・・・心の奥底で何年も愛し続ける男。。。 人とは違うが、二郎なりの愛し方だ。 そんな二郎を周囲から浮き立たせるのに庵野秀明の起用は良かったと思う。 もし、プロの声優や俳優が感情豊かに二郎の声を演じてしまったら・・・私などは、なんだかしらけてしまうと思う。
 この映画、とにかく “はい!ここ、感動するところです” 的な演出は感じられない。 むしろ・・・庵野秀明の声そのもののように淡々と物語りは進行していく。 だが・・・観ている私は、確実に物語りに同化していった。 途中からは、アニメを見ているという感覚ではなくなり・・・この映画の世界観に入り込んでいた。 大きな抑揚はなくとも・・・じわじわと感動に包まれていき・・・自分でも驚いたが、不意に右の頬を涙が一筋伝わった。 いつの間に涙目になっていたんだろう・・・って感じで。 どこで感動したってわけではないのに・・・涙が頬を伝わった。 それはおそらく、画面には描かれないが、確実に存在する二郎と菜穂子の物語りに思いを馳せながら観ていたことの結果だと思う。 こんな感覚の映画、あまり経験ないかも。
 あらためて言うが・・・この映画は、宮崎監督が、これまでの映画とは違って明確に大人に観てもらうための映画を作ったと思う。 だから、人生経験の少ない子供には理解できなくても仕方ないし、画面として描がかれなくとも、切なさやこの上の無い辛さがこの物語にはあるのだということを理解(あるいは慮る)できない人には不満が残る映画かもしれない。 それは、宮崎監督自身が 「それでいい」 と覚悟して作った映画だと思う。 
 それと、戦闘機であるゼロ戦の設計者である男の半生を描きながら、戦場でのゼロ戦の優秀さを一切描かず、ただ “乗って行った者は誰も帰ってこなかった” と、二郎に語らせるあたりに・・・宮崎監督の明確な反戦の意思が感じられる。 戦時中でもあり、戦闘機を作る男の話しなのに、戦争を描かない。 あえて描かないことで、反戦の意を表すってこともアリなのだと思う。
 いい映画だ。

 それにしても・・・エンディングに使われた荒井由美の 『ひこうき雲』 は、なんとこの映画にフィットしていることか。。。 高校生の飛び降り心中や難病で小学生時代の友人が高校生で亡くなったことなどから着想したというこの曲・・・作られた40年前から、この映画の主題歌となることが決まっていたのではないかとさえ思えるほどだ。。。


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コメント

  1. みみ | URL | ffVU29mw

    同感!

    同感!同感!!同感です!!!

    私は、ラスト間近、草原での堀さんの語りの場面がとても切なく、悲しかった。

    声高に叫ぶだけが「反戦」ではないですよね。

    「この映画は宮崎駿の遺言です」
    と鈴木プロデューサーは言いました。

    蛇足。
    「ひこうき雲」
    鈴木プロデューサーが予備知識なく、偶然耳にして、即、宮崎監督に届けたという経緯だったと思います。
    仰る通り、お二人共「まるでこの映画の為にあったかのようだ」と驚かれたそうです。

  2. Haru.Seion | URL | O7xVy9HA

    コメントありがとう!

    こんな時代だから・・・こんな局面だから・・・こんな性急な政権運営をする首相の座にある時だから・・・こそ、この映画の根底に横たわる戦争の悲惨さをよーく考えなければならないと思うのですよ。
    自国防衛、侵略への反撃・・・必要です。
    でも、この映画の時代のような状態へと、この国を向かわせる危惧が本当に無いかをよく検討してもらいたいものです。

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